三州フルーツ工房
廃棄されるイチジクは年間2トン強。
捨てずに何とか商品化したい。
農家に生まれ育った私は、家業を受け継ぎ、イチジクの生産をはじめました。しかし、収穫の約2割のイチジクが市場規格に合わず廃棄。多いときでは15ケースを処分するために、毎日2時間かけて畑に穴を掘り、埋めていたんです。ですから、廃棄するイチジクを何とかしたいというのは以前からずっと課題になっていました。愛知万博でイチジクジャムを作って販売してみたところ、売れ行きがよく、味も好評でしたが、原価計算や販路開拓など、経営の知識が乏しく商品化に繋ぐことができずませんでした。
その後、花火屋さんでありながら、養殖に使用した海苔網を産廃の虫害ネットに再利用したという人がいることを知り、「この人なら再利用について何かアドバイスがもらえるかもしれない」と思い、会いに行くことに。熟しすぎたため市場に出せないイチジクを手土産に持っていったところ「これは美味しい。何とか商品化しよう」と花火づくりで使用する乾燥機を利用して「ソフトドライいちじく」を試作することになりました。ちょうどその頃、「東海若手起業塾」を知り、「ソフトドライいちじく」の商品化をめざした新しい事業に取り組むことにしました。
農業の枠を越えたたくさんの出逢いが
視野を広げ、考え方が柔軟になった。
常に本質から物事を考え、
手法の変化に柔軟に対応することが大切。
三州フルーツ工房 現在の事業内容
イチジクの生産農家。現在の出荷比率は、JA85%、直売10%、委託販売0.5%。キズものなど販売できないイチジクは加工品として、洋・和菓子店への販売や委託製造を行うことで、農業廃棄ゼロを実現。起業塾当時、直売は1カ所だったが、現在は道の駅やスーパーマーケットの産直売り場など8カ所に展開し、売上を伸ばしている。