東海若手起業塾

塾生インタビュー

奥田順之氏/NPO法人人と動物の共生センター(第4期特別研究員・第5期生)

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犬猫の殺処分問題に取り組むため
東海若手起業塾に参加

 ドッグ&オーナーズスクールONE Lifeは、「人が学ぶ」をコンセプトにしたドッグスクールです。大学で動物について学ぶ中で犬猫の殺処分問題に関心を持ち、ボランティア的な関わり方ではなくビジネスとして取り組みたいと思い東海若手起業塾の門を叩きました。 
 東海若手起業塾はもともとなにかの事業を営んでいる人が参加するケースが多いのですが、私はなにもない状態でしたので、1年目は特別研究員、2年目は塾生という形で合計2年間在籍。まずはNPO法人を立ち上げ、その後、現在もトレーナー長として支えてくださっている田中先生の協力を得て、ドッグ&オーナーズスクールONE Lifeをオープンしました。
 スクールの開業にあたっては、東海若手起業塾でのディスカッションにていろいろな気づきを得ることができました。殺処分問題にはさまざまな側面があります。飼い主の高齢化や結婚離婚、引越し、家族が急に動物アレルギーになってしまった、などといった飼手側の問題もありますし、犬の問題行動や病気によって飼い主がペットを手放すパターンもあります。それぞれの原因ひとつひとつに対処していくことももちろん大切ですが、そもそもは、犬と人間の関係がきちんと築けていないことが大きな原因。人間側の欲求を押しつけるだけでは、犬との良い関係は築けません。人間と動物が良い関係を築くためには飼い主が動物の生態や行動について知る必要があるのではと考え、それを学ぶ場所としてドッグ&オーナーズスクールONE Lifeの概要をつくりあげていきました。

 

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社会的課題を解決するための
道を一緒に探す場所

 私にとっての東海若手起業塾は、地図上を指し示してくれるツールです。社会的課題というものにはたいてい指針がないので、いざ出発しようと思ってもどこから進めばいいのかわからない。そういうときに、ちょっと上から見てみましょうと一緒に道を探してくれるような存在ですね。
 今も印象に残っているのは、スクールを開業したばかりの頃、あれもこれもとさまざまなことに手を出そうとしていた私に「そこに芽が出ているものなら、枯らさないようにしなさい」とメンターから助言をいただいたこと。新しいことに次々と目を向けるのではなく、まずは今あることを大切しなさいというアドバイスでした。その一言があったからこそ、今もスクールに基軸を置いたビジネスが展開できているのだと感じています。
 考え方や物の見方についての教えも大きな財産となっています。NPO法人を立ち上げたばかりの頃は自分が率先してやらなければという気持ちが強かったのですが、東海若手起業塾で学ぶ中で自分の立ち位置について客観的に考えるクセがつきました。そうして気づいたのは、場や機会をつくることが私に求められている役割だということ。加えて、そういった場に集まってくれた人たちの気持ちをうまく引き出すことが、コミュニティの活性化につながるのだと学びました。多くの人に助けられてここまできたという気持ちが強いからなのかもしれませんが、最近は特に、自分の意見よりも他人の意見に耳を傾けることのほうが多いですね。

 

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民間企業や行政と協力しながら
犬と人間が共生できるコミュニティを

 ドッグ&オーナーズスクールONE Lifeをスタートしてから2年ほど。これまでは飼い主さんに対する働きかけがほとんどでしたが、最近では、東海若手起業塾でも課題に上げていた民間企業や行政への働きかけにも力を入れています。例えばペットショップやトリミングサロンなどと連携して、飼い主が動物の生態を学ぶ重要性を広めたり、勉強会を開いて動物ビジネスに関わる人たちの知識向上を図ったり。今年からは獣医師による行動カウンセリングを展開するとともに、岐阜県と連携して岐阜県動物愛護連絡会議を立ち上げ、人と動物の共生についての議論を交わしています。動物に関する問題は、法律の問題や業界の仕組みなど私たちだけではどうにもできない部分も多いのですが、周囲の業界を巻き込むことで、動物の福祉向上につながればと願っています。
 例え殺処分の数がゼロになったとしても、噛みつく犬や無駄吠えする犬、散歩のマナー違反がなくなるわけではありません。現在の取り組みを進める中で感じているのは、社会的問題が解決される世の中をめざすというよりも、人と動物がうまく生きていける社会、多数の人が許容できる社会に向かっていくのが理想なのでは、ということ。それを実現するためには、自発的にいろいろな取り組みが起こっていくコミュニティづくりが大切であり、動物の殺処分問題に関わる者としてその指針づくりに役立ちたいというのが今の思いです。時間がかかる問題ではありますが、この取り組みをモデル事業として確立させ、他地域で展開することが将来のめざすところだと感じています。

 

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