東海若手起業塾

塾生インタビュー

張敬清氏/株式会社keisei(第2期生)

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日本の大学へ進みイギリス留学を経験
就職先では人事として外国人採用を担当

 私は中国出身です。北九州の大学に進みイギリスへの留学を経て、卒業する年の6月に日本に戻ってきました。気づくと周囲の友人はほぼ就職先が決まっており、今から就職活動を始めるのは私だけというような状況。
私は急遽、東京の知人の家に居候をして就職活動に臨むことに。就職活動は想像していた以上に厳しく、周囲に頼れる人がおらずとても孤独でした。幸いなことに、愛知県に本社を持つ自動車部品メーカーから合格をいただくことができ、就職した会社では、1年目から人事部に配属となり主に外国人採用を任されることとなりました。
日本企業で働きながら多くの外国人と面接する中で改めて分かったのは、日本企業が求めていることと外国人の考え方の大きなギャップです。実は日本での大卒の就職活動・採用は、グローバル的にはとても珍しい方法なのです。諸外国では大学卒業時の内定率は半数以下の国が多く、卒業してから就職活動を続けることは珍しくありません。他方、日本では大学卒業時の内定率が8割以上です。また諸外国では、能力(学部や成績)などが重視されるのに対し、日本では(長期雇用を前提とした)学生の個性や会社との相性を重視します。私は面接を受ける外国人達と話す中で当初の自分を思い出し、日本企業のニーズが理解できていなかったことが就職活動に苦労した原因なのだと気づきました。
私が入社したのは2005年の時でした。当時日本国内で外国人が人事を担当することが珍しかったためか、中部地区での外国人留学生向け就職ガイダンスに何度か留学生の先輩、または企業人事担当者の立場から講演を依頼されました。
驚いたのは、講演が終わった瞬間にたくさんの生徒が個々に私にアドバイスを求めてきたこと。それがきっかけとなり、いくつかの大学で外国人留学生の就職相談ボランティアを始めることになりました。

 

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ボランティアを経て事業化へ
東海若手起業塾での叱咤激励が糧に

 昼は会社勤務、夜は留学生の相談、土日は大学でのボランティアと忙しい日々でしたが、とても充実感にあふれていました。そうした活動を続けるうちメディアからの取材も増え、その記事を見た事務局の方からお電話をいただいたのが、東海若手起業塾を知ったきっかけです。ボランティアを始めてから数年が経ち、「この仕事はやりがいがある」、「一生の仕事にしていきたい」と強く思い、事業化を考えるようになっていたため、起業塾でなにかヒントがつかめるかもしれないと考え参加することを決めました。
当時の一番の課題は収益性。ボランティア活動をどうビジネスに結びつけていけるのかを試行錯誤しながら収益モデルを考案し、10月に株式会社Keiseiを立ち上げました。
東海若手起業塾では、反対意見や厳しいアドバイスをたくさんいただきました。この事業はお金にならない!と一喝されて泣きそうになったことも。けれどそれらの経験は事業の弱みを知る上でとても役に立ちましたし、それでも自分はこの事業がしたいのか?と意思確認できたことで、事業への熱意をさらに強くすることができました。

 

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自分視点から顧客視点へ
外国人と日本企業、双方の満足度を高めたい

株式会社Keiseiの事業を一言であらわすと、外国人留学生と企業の橋渡し。具体的には、外国人留学生人材の育成と就職支援、企業への人材紹介、採用代行などを行っています。
私自身がそうであったように、外国人留学生が就職活動に苦戦するひとつの原因として、日本企業が求めていることを知らないことが挙げられます。その壁を乗り越えるため、弊社では外国人留学生を対象に「日本組織なじみ塾」というプログラムを展開。日本の独特の就職活動に関する知識や日本企業が求める人材像、ビジネスマナーを学び、最終的には海外法人のリーダーとして活躍できる人材として送り出すことを目標にしています。
 なじみ塾では、低学年の留学生にはアルバイト先で改善活動にチャレンジしてもらいます。日本社会でのコミュニケーション、チームワークを学びながら問題提起と課題解決に取り組む試みも。各々が売上を伸ばしたり廃棄を減らしたりという経済目標を掲げ、それを実現するためにまずは現状把握、次は周りを巻き込み、課題解決に取り組む。学生側にとっては実際の経済活動の中で、日本企業を学ぶことができ、就職先の企業にとっては、積極的に課題解決に挑み、即戦力となる人材が得られるとのメリットがあります。
また、その後の就職活動サポートのみならず、入社したあとも1年間のフォロー期間を設けているのが弊社の特徴です。外国人のフォローだけでなく、企業側に是正して欲しい点があればそれもしっかりと伝えることで、グローバル化に対する意識のボトムアップができればと思っています。
体感的にも数字的にも、外国人の採用を希望する企業は数年前に比べてずいぶん増えました。一方で、日本での就職を希望する外国人留学生の就職率はわずか3割にも届きません。つまり、双方のマッチングがうまく行っていないためにお互いに必要とする場所や人材を選べていないという現状があり、弊社が進める取り組みは社会的にとても意議のあるものだと感じています。
ボランティアとして活動していた頃を振り返ると、自分が好きなことをやるだけの自己満足に過ぎませんでした。東海若手起業塾に参加して得たものは、自分の満足度を高めるのではなく多くの人を満足させなければならないという考え方。その意識改革はとても大きなものでしたし、今も大事にしていることです。
今後は、産官学が連携しながら外国人留学生のキャリアアップについて長期的に取り組むことが、世の中全体の課題だと感じています。その一端を担う者として、人と企業が信頼関係を築くための取り組みをさらに加速させていきたいですね。

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