東海若手起業塾

塾生インタビュー

鈴木誠氏/三州フルーツ工房(第1期生)

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ナス農家からイチジク農家へ
完熟イチジクの廃棄に悩む日々

 三州フルーツ工房の主な事業は、イチジクの生産・加工・販売と、柿とイチゴの加工品販売です。
 もともとは両親がナス栽培をしていたのですが、私が就農したタイミングでイチジク農家への転換を決めました。その頃、鮮度を保てる段ボールが普及し始めたことで九州など温かい地域からのナスが新鮮なまま輸送されるようになり、東海地域でナスを栽培する優位性が薄れてきたのがその理由です。
 ナスに変わる新しい作物を探していた際、イチジクの販売単価が年々上昇しているとのニュースを耳にしました。調べてみると、当時、テレビや雑誌の影響によりイチジクの業務需要がとても伸びており、そのメインターゲットが女性であったことからイチジク人気は今後定着するのではと予想。また、果樹であるイチジクは収穫できるまでに数年かかるため新規参入が難しい点も生産者にとって魅力でした。
 イチジク栽培のノウハウを学ぶため1年ほどイチジク農家で修行をし、イチジク栽培をスタートさせました。イチジクは、流通の都合上、完熟しきっていないものを収穫して出荷します。
 イチジクは枝についたまま完熟した状態が一番美味しいのですが、そうしたイチジクは出荷できないため廃棄することになります。廃棄となったイチジクをそのあたりに適当に置いておくと虫がわきイチジクの木に悪影響を与えるので、毎日数時間、イチジクを捨てるための穴を掘らなければなりません。
 時間もイチジクももったいない、一番美味しい状態のイチジクを有効活用できないかと悩んだ結果、イチジクジャムの製造を開始。愛知万博などで試食配布を行い好評の声をいただいたのを機に、催事などで販売をしていました。

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東海若手起業塾で学びながら看板商品を発案
「使い倒す」が起業塾のキーワード

 他にイチジクを売り出す方法はないかと考えていたとき、知人から、東海若手起業塾というものがスタートすると声を掛けられました。当時はまだ概要もできていない状態でしたが、その人が言うならと気軽な気持ちで参加することに。
 はじめにコーディネーターからのヒアリングを受け、事業計画書を作っては修正しながら今後の課題や新たな商品、販路の拡大について考えをまとめていきました。事業計画書をはじめビジネスに関する学びすべてが私にとっては新鮮で、楽しみながら勉強していたのを覚えています。
 それと平行して、完熟イチジクの付加価値をアピールできる新商品の開発に着手。現在も三州フルーツ工房の看板商品となっているソフトドライイチジクの試作を始めました。
 起業塾で一番思い出深いのは、事業計画書をつくる中で見えてきた課題を解決するために設けていただいた東京研修です。営業やマーケティング、コーチングのプロと話す機会をいただき、漠然としていた未来がすっきりするような感覚を抱きました。東京には1週間ほど滞在し、アドバイザーからの「イチジク生産者ならイチジクのプロフェッショナルになるべき」との言葉を胸に、空いた時間には国会図書館に出向き、イチジクに関する文献を見つけては知識を深めていきました。
 起業塾は、自分に足りないものを見つけてもらい、それを身につけられる場所。自分ひとりでは気づかないことを知ることは、事業を成功させるうえでとても大切なことだと思います。また、自分が知らないことは見栄を張らずに周囲にたずねてみることの大切さも学びました。これから東海若手起業塾に参加する方にアドバイスをするとすれば、「とにかく使い倒せ!」ということ。東海若手起業塾には専門知識を持った方々がたくさんいますので、遠慮せずなんでも相談してください。きっと良いヒントが見つかると思いますよ。 

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今後の目標は完熟イチジクのブランド化
楽しみながら挑戦を続けたい

 東海若手起業塾卒業後は、ジャムやソフトドライイチジクといった加工品だけでなく、枝についたまま完熟させたイチジクを収穫してすぐにお客さまのもとへ直接お届けする「超熟イチジク」の取り扱いを開始。テレビなどさまざまなメディアに取り上げていただき、多くのお客さまからお問合せをいただくようになりました。
 現在は東海三県をメインに全国から注文があり、イチジク本来の美味しさをたくさんの方に知っていただけることに幸せを感じています。
 今後は加工品と併せたブランド化に取り組み、将来は愛知県を代表するおみやげのひとつとして売り出していきたいと考えています。
 ここ数年はイチジク生産者としての仕事のみならず、農業や食に関する勉強会を開いたりイベント企画に携わったり、講演に呼ばれてお話をする機会もいただくようになりました。東海若手起業塾がそうであったように、異業種の人との関わりはモチベーションアップと新しい刺激につながり、自分の視野も広がります。
 楽しいことにはどんどん参加するのが私のモットー。現在計画している事業もいくつかありますが、おもしろいと感じた自分の感覚を大切にして、
これからも楽しみながら新しいことに挑戦していきたいですね。

 

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